熊本県人、台湾中毒者。台湾が好きすぎて、2014年に台湾移住。8年の台北生活後、2匹の犬と共に最も好きな都市、高雄に引っ越す。生活の中で出会う様々な不思議なものを日々探索している。
何年台湾に住んでいても、高雄にいると、台湾の可愛さに驚かされることが多い。もしかしたら、台湾現地の方々が見落としがちな視点、習慣となってしまっている文化が私に驚きを与えているのかもしれない。ここでは、日本からの移住者の視点から、様々なヘンテコで可愛い高雄を掘り起こしていこうと思う。
文.撮影:吉本梨惠
日本人観光客からは、近くて美味しいものが多いと評判の台湾。多くの日本人が、日常的には味わえない本場の味(魯肉飯や牛肉麺、マンゴーかき氷、タピオカミルクティーなど)を求めて、心躍らせながらやってくる。
しかし、実は、日本と台湾は違うようで、共通している食べ物がもの多く存在していることに、年々気づいている日本人も少なくない。例えば、おでん、さつま揚げ、寿司、茶碗蒸し、味噌汁、たこ焼きなど、台湾アレンジが加えられているものの、その多くは、日本統治時代(1895年−1945年)に日本人が伝えたものが多い。
なかでも、よりローカルを求めている観光客が絶対食べたいと思う台湾の「弁当」文化も、日本人が台湾で鉄道を作る際に駅弁として伝えたものが、現在ではよりディープに、台湾人の好みにアレンジされて今も残っている文化の一つだ。台湾好きの日本人の中では、「茶色い食べものは正義」という合言葉が存在していて、その代表格が弁当となっている。
今回、議題を考えるにあたり、この台湾の「弁当」文化に注目してみた。何故、高雄の記事で弁当なのか?と思う方も多いかもしれない。高雄は工業都市として栄えた場所で、製造工場で働く「做工人」が多くいる。做工人は、より体力を使う仕事をされている方も多く、さらに気温も高く日中はかなり暑い高雄では、塩分補給を必要としているため、弁当の味付けやボリュームが他の地域と比べると半端なく多い。台北から高雄へ引っ越してきた当初、その蓋が閉まらない弁当の量に驚愕し、最初は食べ切ることができなかった(今は注文時に、ご飯を半分にするという技を覚えた)。
以前、台湾人の友達に、なぜ高雄の弁当はこんなに量が多いのか聞いたことがある。彼女がいうには、高雄人は量が少ないとクレームをいうこともあるくらいこだわりがあり、さらに店側は客のお腹が膨れることを第一に考えて量を調整しているのだそうだ。そんな、愛のあふれる高雄の有名チェーンを今回は紹介したい。特に、ブランド名にもなっているより一般的な排骨弁当(豚スペアリブ)を食べ比べてみた。

唐揚げ弁当は、だいたい蓋が閉まらない 
3つ選べるおかずが、いつも悩みの種
角の立地を陣取る巨大弁当チェーン「正忠排骨飯」
高雄の排骨飯チェーンといえば、一番に思いつくのがこの「正忠排骨飯」。1991年に王致中さんが創業した弁当屋で、創業店は、まさに高雄三民区正忠路に位置している。どの店舗に行っても必ず角の立地にドンッと構える店舗デザインで、さらに、正忠紅(正忠レッド)と呼ばれる、真っ赤な縦長看板が目を引く。
パッケージや店構えにデザインされているキャラクターの「排骨君 GOODBOY」と専用フォント「排骨体」は2022年の高雄で開催された台湾クリエイティブエキスポ(台湾設計展)の際に、台湾設計研究院とコラボレーションし、リニューアルしたもの。もしかしたら馴染みがない方が多いかもしれない。
見た目は新しくなったが、味は変わらず、巨大な骨付き豚肉が甘辛いタレに絡まれて白米とおかずの上に鎮座する。購入してきたのは「正忠排骨飯(100元)」。
味付けは、濃い目で、ご飯が本当によく進む。私はここの胡椒が効いた甘辛い味付けの排骨飯が今回食べた中で一番好みだった。

正忠排骨飯(正忠店)
高雄市三民區正忠路63號
07-385-3850
あっさり目の味付けで、地元民から根強い人気を誇る「𡘙師傅」
𡘙師傅(太師傅)は、1993年に鶏肉の加工販売企業として創業し、2000年に弁当業界に参入した。(高雄を本部としているが、弁当販売は、第一店舗目は屏東で開業している)現在は、全土に少しずつ店舗を各出しているが、ほとんどが南部を中心に展開しており、高雄の店舗数が最も多い。
ブランドの雰囲気としては、清潔でクリーンなイメージがあり、全体的に健康に気をつけた優しい味付けになっていて、高雄人にとっても家庭料理の延長のような感覚があるようだ。ちなみに「𡘙」の文字は「太」の異字体で、私も最初なんと呼んだらいいのかわからず、よく看板を見たら「ㄊㄞˋ(taiと読む)」と注音符号で読み方が書かれていた。
今回は、排骨弁当比較ということで、鶏肉の唐揚げ弁当も人気だが、排骨弁当を購入してきた。

𡘙師傅には、2種類の排骨弁当が存在しており、1枚目が「古早味排骨飯(100元)」、2枚目が「厚切豬排飯(90元)」。
1件目の正忠排骨と比べるとタレの辛み具合も味もあっさり目で、塩気がそれほど多くなく感じられて、万人に受けする味付けだった。選択できるおかずの種類も多く、毎日違う弁当を楽しむことができる。
𡘙師傅便當專賣店(鳳西店)
高雄市鳳山區五甲一路162號
07-710-3338
ボリュームを求める方におすすめな「梅家村排骨飯」
高雄新興区林森一路が本店の梅家村排骨飯は、高雄には10店舗以上存在している。店舗の壁は、レンガを模した壁紙で、オレンジ色のテーマカラーに統一されていて親しみやすいイメージがある。イートインスペースがない店舗が多く、店構え的にもかなりコンパクトのため、多くの方がバイクで乗り付け、購入して帰っていく。どこも小さめの店舗だが、20年ずっと食べているなんて人もいるくらい古くて地元の方々に愛されているチェーン店だ(創業年は、どこにも記載がなく不明)。
ここも実は、テリテリの豚の角煮をカットした魯肉飯の方が人気だが、今回は排骨特集なので、排骨弁当を購入してきた。

ここの弁当箱は、仕切りのない長方形のケースで、ご飯とおかずを混ざりすぎないように盛り付けるのは相当な腕が必要そうだ。
今回食べた「排骨飯(105元)」(煮卵は追加料金)の肉は、あっさり目の味付けだが、他と比べると肉厚で食べ応えがある。ここの排骨飯には肉の下にさらに細かい肉のそぼろが入っていて、あっさりしたスペアリブでも最後まで飽きさせない工夫がされている。

梅家村排骨飯(林森店)
高雄市新興區林森一路132之3號
07-281-1436








