心地よい風に迎えられ、リズムに合わせてペダルのをこぐ――時速20で街を優雅に通り抜け、ゆったりとした素敵な風景を作り出す。上篇では、2人のアーティストが海外での生活の思い出を辿り、彼らが台北をどのように見ているのか、それで私たちが見慣れた街並みを新しい魅力的な想像で満たす。
車輪が回り続け、下篇では、国立台北芸術大学New Media Art Dept.で在学中の学生で、モデルとしても活躍する香港出身のkhaliaに案内してもらい、彼女と一緒に關渡の芸大生活を散策します。そして、ミュージシャンLINIONを招き、中山駅近くにある赤峰街を歩き、彼の友人を訪ねてコーヒーを飲みながらおしゃべりし、一緒に台北の街に深く入り込み、自転車に乗ってリラックスしよう。
文:何育如 撮影:Liszt Chang 企画編集:張容甄(HereNow編集部)
香港から關渡へ、モデルもメディアアートのひとつなのだ―― khalia

ー 台湾を選んで来た理由は?
khalia:香港でモデルとして活動していたときに、台湾には素晴らしいフォトグラファーがたくさんいること気づいて、商業撮影以外の個人創作も積極的で、そういう雰囲気がとても好きです。また、台湾は多様性を受け入れるところだと思って、自分の個性を保ちながら、努力し続ければ、うまく何かを作り上げることができるのではないかなと思いました。そして、ここは人がとてもいいと感じましたし、いじめられることはないだろうと思ってここに来ました(笑)。この大きな一歩を踏み出すことで、香港での行き詰まった状態をちょうど切り替えることができました。
ー 元々マルチメディアアートに興味がありましたか?
khalia:子供の頃は絵画を勉強していたが、わたしは気まぐれな人なので、一つの媒材にとらわれたくないと思って、色々試してみたいです。ちょうど台北芸術大学にはそういう学科があります。でもまだまだ勉強中なので、アーティストとは呼べないと思っています。
ー 実際に台湾にしばらく滞在してみて、期待通りでしたか?
khalia:人たちは私の期待以上に素晴らしいです!先生もクラスメートも仕事仲間もみんな優しくしてくれたし、Instagramでも台湾人からたくさん励ましをもらい、よく褒めってくださって、こころが温かくなりました。台湾に来る前は少し憂鬱な気分があったのですが、今では心の中で悩むことがほとんどなくなり、人生の試練そんなにいらないなと感じました。
ー モデルとして台湾で活動している感想は?
Khalia:台湾の雰囲気というか、いろいろなフォトグラファーと仕事をした経験のおかげか、自信がついてきて、もっと自分を出せるようになったと思います。これからは、私の外見だけでなく、全体的な雰囲気や行動スタイルも見てくれることを期待しています。
ーこれからはモデルとしてどのように成長していきたいですか?
khalia:アートが好きだからか、モデルするのも創作の一種でと考えています。ただ写真を撮られるだけでなく、立体的になって、みんなに自分を伝えることができると良いなと思っています。ある程度まで達成して、私が実際に何かを伝えていることに気づいてもらいたいです。
学生であること、情熱な芸大生活
台北の中心から少し離れた関渡は、川が交わる場所で豊かな生態が広がり、都市内で貴重な自然の雰囲気が芸大の学生たちに創造力とエネルギーを提供していることでしょう。
ー 関渡にいてどう思いますか?
khalia:香港の実家と地理的には似ているが、繁華街ではなく、どちらかというと郊外です。そんなに賑やかではないけれど、居心地のいい雰囲気があります。
ー ここでの生活に慣れましたか?
khalia:自分の家みたいなもので、作品を作るときにクラスメートとと夜更かしして、終わったらすぐ戻って寝るという、芸大生生活はとてもアツいです!
ー よく行く、慣れ親しんだ場所はありますか?
Khalia:神明の誕生日やお正月には、必ず関渡宮にお参りします。過去には、お参りの後にスクラッチを買って当たりが出たこともありました。それと、「葉桂英珈琲」という美味しいケーキを出すお店もあるのですが、ちょっと控え目であるお店なので、今回は行きませんでした。

ー台北のどんなところが好きですか?
Khalia:台北のカフェがとても好きです!香港はとてもペースが速いので、ほとんどのカフェは時間制限があり、くつろぐためにカフェ行くという目的から外れているような気がします。そして、台北には隠れ家的でかわいいお店がたくさんあるし、時間制限もあまりないから、行きたいお店がたくさんあって……(シェアし始める)
ー 今後についてはどう考えていますか?
khalia:今、彼氏と一緒に写真のzineを作くています。最もきれいに撮られた写真ではないけど、コンセプトも、印刷も、デザインレイアウトも私たちの好みで真剣に取り組んでいます。将来、どこにいるかはまた確実にわからないけど、もっといろんなところを訪れてみたいなと思います。

ニューメディア・アートについて話すと、khaliaはいつも「まだまだ勉強中」と言い、とてもシャイで謙虚していますが、モデルとしての姿勢を語ってくれる彼女が、すでに自分自身をアート媒材の一種として扱い、その表情や、しぐさのひとつひとつが、彼女の最も内なる思いを伝えています。
khalia
楊可兒、22歳、香港生まれ。現在台湾でニューメディア・アートを学びながら、モデルとしても香港と台湾で活躍しています。
Instagram:https://www.instagram.com/khalia_/
LA派の中山エリア生活、秩序とほっておくことがクリエイティビティの試みになる —— LINION

ー LAでの生活はどう過ごしてましたか?
LINION:その時は本当に「一日中一つのことだけやれば良い」で、LAの道では大変混雑していて、外出すると高速道路で2時間程度の渋滞がよくあり、一つのことをやり終えるとすでに夜になっていました。だから、だいたい友達と一緒に誰かの家に行って、話をしたり、食事をしたりして、一日が終わってしまいました。
ー 現在の台湾ではどんな生活習慣がありますか?
LINION:朝30分、自転車か徒歩で出かけることをルールにしています。これは少し前にやったプロジェクトから引き継いだのですが、今では朝に出かけないと、なんだか変な感じでふらふらするようになります。
ー 「42日計画」について?
LINION:僕は一日中ずっと曲を書かず、運動、曲作り、雑事、そして遊び時間で1日を区切っていて、紙、ペンとギターだけで創作することに戻りました。42日というのは、7日間ごとにサイクルを設定し、6曲書くということです。この計画始めたのは、今年私が開催したソングライティング・キャンプで、みんなパソコンだけで曲を作ることをみて、作業スピードがとても速かったけれど、なんだか違うと感じて、僕はこのことでずっと悩んでいたんだけど、何も書けなかったし、何を伝いたいのかもわからなかったので、そのしっくりこなかったことがきっかけで始めたんです。
ー 成果はどうでしたか?
LINION:すごくうまくいってましたよ! この前は一日中ずっと曲を書こうとして、ひらめきを待とうとしていたが、非常に焦りました。今は、ひらめくことをあきらめて、自分に時間を与えて、何もできなくでもいいし、できたら「ラッキー」と思うようになりました。また、創作をわざとやることをやめて、作曲をゲームとして捉えるようになりました。それを気づいてリラックスした後、すごく馬鹿げた歌を作った(笑)でもそれで十分だと思いました。
ー ひらめくことを諦めるってどういうことですか?
LINION:曲を作るときは、コーヒーを入れたり、水を飲んだり、植物の世話をしたりと、いくつかのタスクを自分に課しているんだけど、時々インスピレーションが湧かなくて、これらすらやりたくないときがあり、何をすればいいのかわからなくなって(笑)結局、ひたすら歩き回っているうちに、飽きてきて、何もやることないから、作曲を考え始めます。

ー その状態で作った作品と、パッと思いついたとき作った作品と何が違うのでしょうか?
LINION:実は似ているんだ。僕の見方では、作品が勝手に発酵して、自分の運命があって、ある場所に導いてくれます。 ちょっと不思議だけと、占いのような感じかな。私はもはや単なるプロデューサーではなく、僕と作品との間にこのようなやりとりがあるようなもので、それは面白いです!
「LI氏」の中山里民生活圏
中山が台北ではかなり前からよく知られたエリアだが、いまだに活気に満ちている。それは新しい店舗の進出もあるが、この馴染みのあるこのエリアで、常に新鮮で面白い出来事が続いているから。

ー 權泉咖啡にはよく来るみたいですね?
LINION:ほぼ毎週です。休日になると、たいてい最初にここに来ます。実際は僕は台北の繁華街にはあまり来たくないのですが、彼(オーナーの鈞凱さん)は人々を結びつけることがうまくて、人々の友好的な一面を引き出して、ここにいるみんなを仲良くなります。
ーここではどんな話をするんですか?
LINION:人生のこと?実は何でも話すんだ。ここでたくさんの人と出会い、所属感を感じます。僕もたくさんの友達と一緒にコーヒーを飲みに来て、会話を楽しんだりしています。
ー他によく行くお店はありますか?
LINION:ここにずっといることのほうが多いけれど、そうでないときはWaiting Roomに行きます。唐世杰さん(Waiting Roomのオーナー)とはとても仲が良くて、店に入るとすぐに座っておしゃべりするんだ。まるで地元の住民のようなもので、だいたいこんな感じですね。
ー 人と交流した感想は?
LINION:LAでは直接的だったんだけど、台湾に帰ってきて、自分が思っている距離感がみんなと違うことにちょっと慣れなかったです。その後、やっと自分らしく人と接する方法を見つけた、それはユーモアです(笑)。 印象に残るようになり、また、相手は僕の作品に対して想像しやすくようになります。

LINIONとの会話はまるで2つの歯車のかみ合い、彼の柔らかいユーモアと深い思考、無意識のうちに会話が続けたくなる。彼が自由に語るクリエイティビティの洞察は波のようで、風が立つとゆるやかに美しい波が巻き上がり、岸に触れると泡になって消えてしまい、彼がこれからどのような叙情的な作品をもたらすのか、非常に楽しみにしています。
LINION
「スピリチュアル男子」のLINIONは、Neo-Soul、R&Bを中心とした台湾のシンガーソングライターです。 ベースをメイン楽器とする彼は、2016年にロサンゼルスのMusician Instituteを卒業し、2018年にデビューアルバム『Me In Dat Blue』をリリースしました。2020年9月にはセカンドアルバム『Leisurely』をリリースし、第12回金音創作獎で「最優秀リズム&ブルースアルバム賞」を受賞した。
Instagram:https://www.instagram.com/linion_linion/

この特集は、Tokyobike Taiwanの協力によって提供されています。
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