ソウルの南・新沙洞(シンサドン)にある人気のストリート・カロスキルは、いまや海外からの観光客にもよく知られているエリア。しかし、今回紹介するストリート「シャロスキル」は、名前こそ似ていますが、まだまだ知らない人も多いのでは?

もともとソウル大学周辺の平凡で小さなストリートでしたが、2010年代に入って、オシャレなレストランやカフェができはじめ、噂を聞いた若者たちが集まるエリアに変化。

最初は「カロスキル」にソウル大学の正門の模様を表した文字「샤(シャ)」を付けて冗談のように呼んだ地名ですが、いまではまた違う魅力を持ったホットなエリアに。今回は、そんなシャロスキルエリアの紹介です。

    テキスト: soulitude, 撮影: Lee Hyunho

    POSTED on 2020.05.24

    UPDATED on 2020.05.27

    庶民的な古い街並みと新しいお店が共存するエリア

    シャロスキルを歩いてみると、カンナム、ホンデなど若者たちがよく集まる他のエリアにはないような独特な雰囲気があることがわかります。

    ここは、わずか数年前までは普通の住宅街だったため、いまでもクリーニング屋や肉屋、スーパー、ピアノ塾などが多く並んでいます。その庶民的な生活感が溢れているからかもしれません。

    古い街中に、お客さんで賑わう古いレストランや、オシャレなカフェが混ざっている風景はシャロスキルでしか出会えない独特な風景。

    そんな日常的な街の暮らしと、新たに生まれた若者の活気のあるお店が特別なハーモニーを生み、街の魅力をつくりだしています。

    そんなシャロスキルエリアから、いくつかのお店を紹介します。

    済州商会 / 제주상회

    あらゆるグルメ店が並ぶシャロスキル。ソウル大入口駅のほうからシャロスキルを一通り歩いていくと、『済州商会(チェジュサンフェ)』というお店があります。ここは、ソウルではめったに食べられない本格的なチェジュ島(済州島)の料理を専門とするお店です。

    レトロ風できれいに整っているお店のなかには、いろんな小物アイテムが並び、どこかノスタルジックな気分に。また、チェジュ島のシンボルである石像・トルハルバンや、島の地図などが飾られていて、チェジュの雰囲気を存分に感じさせてくれます。

    『済州商会』は、2015年12月にオープン。当時23歳の大学生だったオーナーは、チェジュ島の料理にハマって年に何度もチェジュ島を訪れ、秘法を徹底的に明かさない料理店で1日何十人前もの料理を食べながら研究を重ねて、ついに同じ味を再現したといいます。

    チェジュ島の代表的な名物であるコギククス(韓国版豚骨ラーメン)とピリ辛いソースを混ぜて食べるビビンククス(かき混ぜ麺)、そしてチェジュ風のスンデ(豚の腸詰め)を鉄製のお膳に載せると、まるでチェジュ島の老舗料理店にいるような気分に。

    夜に尋ねるなら、料理とともに、チェジュ島の有名なお酒である「ハンラサン(焼酎)」や「ウド・マッコリ」と一緒に楽しんでみては。


    済州商会(チェジュサンフェ) / 제주상회

    住所: ソウル特別市 冠岳区 冠岳路 12キル 108 B1

    電話番号: 02-883-7083

    営業時間: Tue-Sun 11:30 – 22:00 * Break Time: 14:30 ~ 17:00


    Saesil Garden+Cafe / 새실정원

    おいしい食事の後は、静かなところでお茶でもいかがでしょう。『済州商会』からそう離れていないところにある『Saesil Garden+Cafe』は、都会の雑踏のなかで楽しめるヒーリングスポットとしてもとっておきのカフェです。

    はじめでも紹介したように、シャロスキルはもともと静かな住宅街。そのため、多くのお店が普通の住宅や古いお店などをリノベーションしてつくられていて、『Saesil Garden+Cafe』もそのなかの一つです。

    『Saesil Garden+Cafe』の建物は、去年まで1階が肉屋、2階は居住スペースでした。それをいまのオーナー夫婦が引き取り、夫妻それぞれが、大学で建築と造園を勉強したことを生かしてリノベーションしたそう。

    そのためか、店内は本物の庭園のように草木が多く飾られていて、インテリアもウッド素材のものでつくられているのが特徴的です。

    メニューも可愛いデザート類と、独特な色合いのドリンクを提供。なかでも見た目にも美しい「オーロラエード」は、紫色のバタフライピーティーをレモネードに入れ、混ぜて飲む人気のメニュー。コップのなかで、オーロラのように紫色が広がる姿を目で楽しめます。

    そのほかにも、「ノウルエード」はマンゴーとファッションフルーツでつくった爽やかなエードに、赤色のハイビスカスティーを入れて夕焼け(ノウル)を演出します。

    建物の1階にあるビストロ『亜熱帯(アヨルデ)』は、夫が運営するお店。ここで食事して2階でコーヒーを飲むというコースも良いかもしれません。


    Saesil Garden+Café / 새실정원

    住所: ソウル特別市 冠岳区 冠岳路14キル 103 2F

    電話番号: 070-4122-1620

    営業時間: Tue-Sun 12:00~22:00

    URL:https://www.instagram.com/cafe_saesil/


    Jean boulangerie

    シャロスキルのメインストリートからちょっと外れた落星垈(ナッソンデ)駅のほうにあるパン屋が『Jean boulangerie(ジャン・ブーランジェリー)』。このベーカリーは、最近注目されるようになったお店の多いシャロスキルではめずらしく、このエリアで長年愛され続けて来たお店です。

    1996年にオープンした『Jean boulangerie』は、ソウルでおいしいパン屋を語る際にいつも挙げられるお店で、大統領官邸にパンを納品していることでも知られています。店内には時間を問わず人々が混み合い、その人気を実感するでしょう。

    数あるパンのなかでも、中身に餡が一杯のアンパン、生クリーム、餡、マロンが入った巨大なマンモスパンが有名。平日でも焼き立てを狙って、数十人が店頭に並ぶことも。

    ちなみにベーカリーのなかに、パンを食べられるスペースはないので、いますぐおいしいパンを食べたい方は、道の向かい側にある『ToPresso(トプレッソ)』というカフェでコーヒーをいただきながら、食べるのが良いでしょう。


    Jean boulangerie

    住所: ソウル特別市 冠岳区 落星垈駅キル 8

    電話番号: 02-889-5170

    営業時間: Mon~Sat 07:00~22:00


    Salon De Book / 살롱드북

    食事の後は、本屋などはいかがでしょう。シャロスキルから1ブロックだけ離れたところに、2016年に開業した独立系書店『Salon De Book』があります。

    きれいでオシャレな店内には、独立出版で発売されたいろんな本が販売されています。2018年の9月からは「本を媒体とした文化空間」を目指し、「ブックバー」という新たなコンセプトのもと、お酒や飲み物を注文して、本を読むことも可能となりました。

    ここでは独立系書店であるからこそ出会える本がたくさんあります。本のカバーには本屋のオーナーや常連のお客さんが書いた簡単なレビューやオススメポイントが書かれているので、それを参考に選ぶのも良いかもしれません。

    『Salon De Book』のもう一つの面白いところは、無人営業のときもあるということ。オーナーはお店を空けるときもカギを掛けないといいます。店の人がいないときでもお客さんは自由に入ってきて本を買い、自ら会計まで済ませておくそう。

    また常連客が一人でカクテルをつくって販売していることもあるのだとか。お客さんと一緒につくっていく『Salon De Book』。なんとも面白いスタイルの独立系書店です。


    Salon De Book / 살롱드북

    住所: ソウル特別市 冠岳区 南部循環路231キル 11 テズビラ 1F

    電話番号: 070-4007-2466

    営業時間: Mon~Thu 14:00~22:00 / Fri~Sat 14:00~00:00

    URL:https://www.instagram.com/salon_book/


    マッコリカフェ・雑(ジャブ)

    シャロスキルのストリートの入り口とも言われるところからすぐのところにある『マッコリカフェ・雑(ジャブ)』は、シャロスキルの盛況をつくりあげたお店の一つ。

    2010年、シャロスキルが注目されるきっかけになったハンバーガー屋『Journey』がオープンして、数か月後にここができました。

    当時、若い会社員だったオーナーはソウル大学に通っていた友達からこのエリアの話を聞いて興味を持ち、お店を出すことを決心したそう。

    お店は入り口から「雑」という文字が目に入るオシャレな看板、そしてモダンなインテリアがきれいなカフェの店内を連想させます。

    本来マッコリが老舗の居酒屋のようなお店で飲むというイメージなら、ここはそれを若い世代の好みに合わせたモダンな設計のお店といえるでしょう。

    『マッコリカフェ・雑(ジャブ)』の人気メニューはチヂミ。韓国人にとってチヂミは、マッコリといえば自然と相棒のように思い浮かぶメニューであります。

    ここでは、種類も多くかなりのボリュームなので、お腹を減った学生たちにも大人気。いろんな海鮮とキムチが入っているキムチヘムルジョンや、独特なフュージョン・チジミであるフライドポテトジョンなど、さまざまなチヂミメニューのなかから、ぜひ好みのものをオーダーしてみてください。

    肝心のマッコリは、「マッコリカフェ」と掲げているだけ、お店で扱っているマッコリの種類も多様。韓国各地の多様なマッコリブランドを全14種も用意しています。

    その他にも、甘い果物などをミックスされた、若い女性に人気のマッコリカクテルを4種類提供。なかでもハチミツをミックスしたクルマッコリは、瓶の下のほうにあるハチミツをマッコリとよく混ぜて飲むスタイル。苦いお酒が苦手な方にオススメのマッコリカクテルです。


    マッコリカフェ・雑(ジャブ)

    住所: ソウル特別市 冠岳区 冠岳路14キル 31 B1

    電話番号: 02-6403-4424

    営業時間: Wed-Mon 18:00~03:00


    個性あふれるさまざまなグルメスポットが並ぶシャロスキル

    シャロスキルには今回紹介したお店以外にも、魅力的なお店がたくさんあり、若いオーナーたちの意欲が伺える個性的なお店が並んでいます。

    2010年にシャロスキルが話題となる口火を切ったハンバーガー屋『Journey』や、レトロな香港を表現したカフェ『MIDLEVEL(ミッドレベル)』、ソウル大学の創業サークルからはじまったサラダ専門店『Sweet Balance』など、小さなエリアに個性のあるお店が密度高く集まっています。

    小さな街でさまざまなグルメと庶民的な雰囲気を楽しめるシャロスキル。ソウルに行った際には、ぜひ足を運んでみてください。

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