韓国最大級の歴史・文化コレクションを誇る「国立中央博物館」。旧石器時代から近現代に至るまで、韓国民族の歩みとアジア文化の輝かしい歴史や芸術的成果を幅広く展示しています。世界的なトレンドを牽引するK-POP文化の拠点・ソウルを訪れるなら、ぜひ一度この博物館に足を運び、韓国文化の豊かな根源に触れてみてはいかがでしょうか。

韓国といえば、IP(知的財産)やアイドルを活かした魅力的なグッズ展開に定評がありますが、国立中央博物館のミュージアムグッズもまた、目を見張るほどのクオリティです。2022年に誕生した公式デザインブランド「MU:DS(ミューズ/뮷즈)」は、「Museum Design Store」の略称であると同時に、インスピレーションと美を届ける「ミューズ(Muse)」の意味も込められています。収蔵品や展示品をクリエイションの出発点とし、伝統的な価値と現代的なデザインを融合。遺物が持つ本来の精神や機能を尊重しながら、現代の視点で鮮やかに再解釈しています。

今回は、HereNowが厳選した国立中央博物館の5つのシリーズをご紹介します。古の精神を日々の暮らしに溶け込むデザインへと昇華させたアイテムたちは、どれも毎日の生活の中に、すっと溶け込んでくれるものばかり。次のソウル旅行、お土産選びに迷ったら、候補に加えてみてはいかがでしょうか?

text by 謝喬伃.editor 張容甄(HereNow編輯部)Image courtesy of The National Museum Goods Ghop MU:DS、Korea Heritage Service (KHS)


1. 新羅の微笑み(人面文円瓦当)

出處:韓國國家遺產廳 국가유산청/www.khs.go.kr

韓国・慶州(キョンジュ)で出土した新羅時代の人面文円瓦当(じんめんもんえんがとう)は、屋根瓦の端に配置される装飾瓦で、「新羅の微笑み」の愛称で親しまれています。ふっくらとした唇に穏やかな目元、その温かな表情は新羅と慶州の象徴となりました。金型による量産ではなく、職人が一つひとつ手作業で彫り上げたと推測される繊細なラインには、高い技術と人間味あふれる美しさが宿っています。一部に欠けがあるものの、調和のとれたその表情は、現在知られている唯一の人面文瓦当として、2018年に韓国の国宝に指定されました。

✴︎ ミニポーチ

「新羅の微笑み」の特徴である欠けた輪郭をそのまま再現し、明るく温かな微笑みを立体的な刺繍で表現。柔らかくふわふわとした手触りの生地を使用し、型崩れを防ぐために内側にはしっかりとした裏地と中綿を入れるなど、耐久性にもこだわっています。コスメや小物を収納するのにぴったりのサイズ感で、実用性と美しさを兼ね備えています。

✴︎ 晴雨兼用傘

もともと屋根の端で雨を防ぐ役割を担っていた瓦は、同時に厄を払い、幸運を祈る「魔除け」の意味も持っていました。MU:DSはその本来の意味と機能を現代的にアップデートし、晴雨兼用傘を開発。円形の図案をリピートさせ、傘の縁を彩るデザインが遊び心を添えています。染色から刺繍、縫製に至るまで全て韓国国内で製造。軽量でバッグに収まりやすく、持ち運びにも便利です。


2. 半跏思惟像(はんかしゆいぞう)

出處:韓國國家遺產廳 국가유산청/www.khs.go.kr

片足を組み、指先を頬に当てて深い思索にふける「半跏思惟像」。その姿は、悟りを開く前のシッダールタ太子が生の心理を静かに見つめる姿に由来します。国立中央博物館が所蔵する「金銅弥勒菩薩半跏思惟像(韓国国宝第83号)」は、三山形の宝冠を戴き、静かに目を閉じた穏やかな表情で、見る者の心を落ち着かせる力を持っています。その柔らかな顔立ち、控えめな微笑み、完璧なバランスのプロポーションは、当時の高度な鋳造技術の結晶です。

✴︎ 半跏思惟像ミニチュア(チェゴシムコラボシリーズ)

人々に癒やしを与えてきた半跏思惟像に、現代的な感性をプラス。独特なイラストスタイルで人気のクリエイター「チェゴシム(최고심)」とのコラボレーションにより、ユーモア溢れる限定アイテムが登場しました。頬に手を当てるお馴染みのポーズに加え、「指ハート」や「グッドポーズ」など、愛らしく現代的なアレンジが施されています。温かくも茶目っ気たっぷりの姿が、日常にささやかなエールを届けてくれます。


3. 螺鈿(らでん)漆器

出處:韓國國家遺產廳 국가유산청/www.khs.go.kr

韓国のドラマや映画で、豪華な紋様が施された黒い大きなクローゼットを見たことはありませんか? それこそが、韓国を代表する工芸「螺鈿漆器」です。高麗時代に黄金期を迎え、朝鮮時代を経て今日まで受け継がれてきました。漆を塗り重ねた表面に、薄く削った貝殻を紋様に合わせて貼り付け、さらに漆を塗って研ぎ出すという、非常に緻密な工程を経て作られます。この技術を守るため、螺鈿匠と漆匠は無形文化財にも指定されています。

1970年代の高度経済成長期、螺鈿漆器は再び全盛期を迎えました。螺鈿の家具は富と地位を象徴する嫁入り道具となり、特権階級の工芸から時代の繁栄を象徴する文化へと広がりました。しかし、1980年代以降の住環境の変化や安価な家具の普及により、大型の螺鈿家具は次第に姿を消していきました。

近年、この螺鈿工芸が再び注目を集めています。職人たちが技術を継承する一方で、デザイナーやブランドが螺鈿をアクセサリーや日用品へと転換し、現代的なデザインとして再提示しています。牡丹、松、鶴、龍、蝶、蓮といった紋様は、富貴、長寿、権威、和合、清廉といった願いを込めたまま、今の暮らしの中で新たな輝きを放っています。

✴︎ マグネットブローチ

「螺鈿菊花唐草文箱」の形と華やかな紋様にインスパイアされた、マグネット兼ブローチです。3つの花紋には天然の貝殻を使用し、繊細な輝きを表現。その他の伝統紋様はUV印刷で緻密に再現されています。冷蔵庫や玄関のドアに飾るインテリアとしてはもちろん、背面のマグネットで衣服を傷つけずにブローチとしても楽しめます。

✴︎ ブックマーク(しおり)

十長生(じゅっちょうせい)や山水などの伝統図案に天然の貝殻をあしらったハンドメイドアイテム。天然素材のため、一つひとつ光沢や紋様が異なる「世界に一つだけ」のしおりです。本に挟むだけでなく、バッグのチャームとして使えば、伝統の情緒と現代的なセンスが同居するアクセントになります。

✴︎ ワイドマウスパッド&キーボードステッカーセット

螺鈿細工の質感と伝統紋様をデスク周りに。鶴や桃のモチーフは長寿と吉祥を象徴しており、実用的なだけでなく、仕事場に凛とした品格とポジティブなエネルギーをもたらしてくれます。


4. 青磁と白磁

柔らかな青緑色の釉薬と精巧な象嵌(ぞうがん)技法で知られる「高麗青磁」。その色は人工的な染料ではなく、釉薬に含まれる成分が光を反射して生まれる自然の神秘です。一方、それに続いて興隆した「朝鮮白磁」は、装飾を削ぎ落とした潔い美しさが特徴。有名な「白磁月亮罐(げつりょうかん/満月壺)」のように、素朴でありながら豊かな存在感を放ちます。「飾り気はないが粗末ではなく、華やかだが贅沢ではない」という当時の美学を体現しています。

✴︎ 青磁カップセット

「碧玉のように青く、水晶のように澄んだ」高麗青磁の美しさを日常で楽しむために、陶芸家シム・ボグン(심보근)氏のブランド「MUJAGI(ムジャギ)」と共同開発。伝統的な形状(青磁花形椀、蓮葉文椀、瓜形瓶)をモダンに解釈したカップセットは、現代の食卓に静かな芸術性を添えてくれます。

✴︎ ぬいぐるみチャーム

博物館の至宝である青磁と白磁をモチーフにした、ふわふわのクッション型チャーム。白磁の温かみのある白と、青磁の翡翠のような色彩を再現し、複雑な紋様を可愛らしく簡略化して刺繍しました。柔らかい手触りの布製キーホルダーは、バッグに付けるだけで心を和ませてくれます。


​​5. 伝統建築のディテール

収蔵品だけでなく、MU:DSは韓国の伝統建築からもインスピレーションを得て、他ブランドとのコラボレーションを展開しています。

✴︎ アロマストーン(柱と礎石)

景福宮(キョンボックン)などの宮殿を訪れた際、屋根を静かに支える柱に目を留めたことはありますか? このアロマストーンは、伝統建築の「柱」とそれを支える「礎石」をモチーフにデザインされました。ハンドメイドで仕上げられた石の質感は自然な風合いを残し、お気に入りの香りを垂らせば、空間に穏やかな時間が流れます。

✴︎ 箸置き(屋根と雑像)

火災から建物を守るため、伝統建築の屋根には「雑像(チャプサン)」と呼ばれる魔除けの像が安置されてきました。この雑像をモチーフにした箸置きには、「家族の平安を守る」という願いが込められています。程よい重厚感があるため、ペーパーウェイトとしてもマルチに活用できる一品です。

MU:DSは、展示ケースの中に留まっていた文化財を、人々が「家に持ち帰りたい」と思えるデザインへと変え、日常の中で触れ、使い、感じられる存在へと昇華させています。アーティストやブランドとの垣根を超えた試みは、博物館とポップカルチャー、そしてデザイン産業の間に新たな繋がりを生み出し続けています。


国立中央博物館(クンニプチュンアンパンムルグァン)
住所: ソウル特別市龍山区西氷庫路137
営業時間:
月・火・木・金・日:10:00〜18:00
水・土:10:00〜21:00(夜間開館)
観覧料: 無料(企画展・特別展は有料)

National Museum Goods MU:DS 뮷즈
公式オンラインショップ(グローバル):https://muds.kr
公式オンラインショップ(韓国語):https://www.museumshop.or.kr/kor/main.do

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