2019年10月26日〜27日に大阪グランフロントで開催された『UNKNOWN ASIA Art Exchange Osaka 2019』。今回は、日本、中国、台湾、香港、韓国、マレーシアなどアジア10か国か総勢290組のクリエイターが集まりました。

アートフェアの名前の通り、まだ「UNKNOWN」なことばかりのアジアクリエイティブシーン。その最前線で活躍する彼らは、普段どんな街で活動し、どんなトピックに関心があるのでしょうか。

そこで今年のグランプリであるMirim Chuさんをはじめ、アジア各都市からやってきた5名のクリエイターにインタビューを決行。深センのハイエンドな書店、台湾のアートスペース、上海の隠れ家ギャラリーなど、クリエイターたちの話から、アジアの「今」が垣間見えました。

POSTED on 2019.12.11
「今」を生きる人々を捉える、ソウル在住のシティーガール
Mirim Chuさん

はじめにお話を伺ったのは、『UNKNOWN ASIA Art Exchange Osaka 2019』でグランプリを受賞したMirim Chuさん。

デジタルグラフィックのドットをつかったピクセルアートで都会のランドスケープなどを描いた作品には、自身の生い立ちが深く関わっているといいます。

Mirim:生まれも育ちもソウルなので、都会が好きなんです。夜のシティーライトからはよくインスピレーションを受けていますね。

今回会場となっている大阪は日本第二の都市。いったいどんな景色が広がっているのか知りたくて、事前に「大阪」を画像検索してみたんです。そしたら「道頓堀のグリコの看板」などネオンライトがとても素敵だったので、さっそく作品にしてみました。

あとはSNSに侵食された現代人を作品の題材にすることもあります。この作品を見た人たちがゆっくりと話し合う時間をもてたらいいな……とはいえ私もSNSはよく見るんですけどね(笑)。

Mirimさんの作品

Mirimさんが暮らすソウルも言わずと知れた大都会。ギャラリーや写真映えスポットが点在するソウルで、いったいどんな過ごし方をしているのでしょうか。

Mirim:私がよく行くのは、ソウルの北側にある西村(ソチョン)というエリア。昔ながらの風情が味わえる下町エリアにアートギャラリーが点在しているんです。

韓国で開催されている展覧会を紹介してくれる「oottoogi」というInstagramアカウントが、いま私の周りではとても人気なのですが、このアカウントは展覧会情報に合わせて、近くのカフェやレストランも提案してくれるので便利なんです。ぜひソウルの町歩きに役立ててほしいです。


oottoogi



Mirim Chu
WEB:
https://www.chumirim.com

Instagram:
https://www.instagram.com/chumirim/


クアラルンプール発・ポップなミューラルやイラストレーションに世界が注目

続いてお話を伺ったのは、色鮮やかなブースが一際存在感を放っていたマレーシア・クアラルンプールを拠点に活動するアーティスト、Fritilldeaさん。

NIKEやVANSなど世界的なブランドのイラストレーションを手がけるほか、クアラルンプールの学校やコミュニティスペースなどのミューラル(壁画)を手がけ、その様子をインスタグラムで生配信するなど、若者らしいフレッシュな感性でファンを増やしています。

Fritilldeaさん

Fritilldea:ぼくが住んでいるクアラルンプールでは、最近ユースカルチャーがとても元気なんですよ。特に中心地から西へ車で15分ほど進んだ先にある「Bangsar(バンサー)」というエリアは最近面白くなってきています。

もともと高級住宅地の印象が強いエリアだったのですが、いまではギャラリーや洗練されたコンセプトショップがオープンしはじめています。

Snackfood

Fritilldea:そのなかでも、ハンドメイドのアクセサリーや金継ぎのワークショップなど世界中のワクワクするものだけを集めたコンセプトショップ『Snackfood』はおすすめ。友人のDianneTahirもここで働いています。

右からFritilldeaさん、DianneTahirさん

Fritilldea:クアラルンプール以外にいま気になっているアジアの都市を挙げるなら、ジャカルタかな。音楽やアートなどのサブカルチャー、そして私の趣味でもあるスケボーなどのストリートカルチャーが盛り上がっていると仲間内で話題なんです。

クアラルンプールにしても、ジャカルタにしても、やはり若い世代が元気な街に魅力を感じますね。私も自身の活動を通して次世代にモダンアートを伝えていきたいと思っています。


Snackfood

WEB:
https://ilovesnackfood.com/

Instagram:
https://www.instagram.com/snackfood/



Fritilldea

WEB:
https://fritilldea.onuniverse.com/

Instagram:
https://www.instagram.com/fritilldea/


香港や深センを中心に活躍する新進気鋭のデザイナー

洗練されたモノトーンのアートワークが目を引くHongKoさんのブース。しかし今回の展示は、彼の作品のほんの一部。2011年には中国の雑誌『Art&Design』で今年の顔に選ばれるなど、名実ともに話題のデザイナーです。

HongKo HongKongさん

HongKo:ぼくがいま活動の拠点を置いているのは、香港と中国・深セン市の2か所。いずれも若い世代がアートシーンで新たなムーブメントが起こしているのを肌で感じられるエキサイティングな都市です。

香港では、歴史的建造物にリノベーションしたスポットが増えてきています。ぼくが最近ハマっている『PMQ』
もそのひとつ。

PMQ

HongKo:ここは元警察宿舎だったんですが、いまではその部屋をクリエイターたちがギャラリーとして使ったり、オリジナルデザインの商品を販売したりしています。香港にはいままでなかったようなクリエイティブハブだと思います。

デザイン会社・KL&K Designでクリエイティブディレクターとしての顔も持つHongKoさん。もうひとつの拠点、深センでは、書店『覔 Reading Mi』のスペースデザインを手がけ話題を呼びました。

覔 Reading Mi

HongKoさん:深センもまた草の根的に小さいギャラリーが増えて面白い都市になってきていますよ。ギャラリーでクリエイターたちが集って意見を交換したり、アイデアをシェアしたりしている様子を見ていると「次は絶対深センがくる!」と確信しますね。

ぼくがデザインを手がけた『覔 Reading Mi』もいまの深センが持っているクリエイティブなエッセンスを大切にしていて、ただの書店とは一味違う空間に仕上げています。深センにお越しの際は、ぜひ行ってみてください。


PMQ


WEB:
http://www.pmq.org.hk/



覔 Reading Mi


WEB:
https://www.facebook.com/pages/%E8%A6%94-Reading-Mi/1389778191125640



HongKo HongKong
WEB:https://www.facebook.com/hongko.hongkong.5

Instagram:https://www.instagram.com/hongkohongkong/


草月流の花道を独自のスタイルで表現。台湾出身の生け花クリエイター

日本人には馴染みの深い生け花。しかし平面デザインや写真で生け花を表現するChen Hisさんの斬新な試みには日本人ならずとも思わず足を止める人が続出。

Chen Hisさん

Chen:もともと日本の文化がとても好きで、なかでも生け花にはとても関心があったんです。台湾人の自分が、生け花を表現しようと思ったときに日本人とは何か違うアプローチができないか、と考えて行き着いたのがこのスタイル。

日本文化の再解釈は、アーティストとしてとてもやり甲斐のあるテーマだと思います。私もInstagramをフォローしている「Jon Koko」の作風も日本文化にインスパイアされていますね。彼はベルリン、私は台湾在住のアーティストなのに、お互い日本文化から影響を受けているなんて不思議です。

Chenさんにとって日本文化はインスピレーションの源。現在拠点を置く台北では、台湾と日本のクリエイターが協業しできあがったアートスペースがお気に入りなんだとか。

台北でよく行くのは『朋丁』(ポンディング)。台湾と日本のクリエイターによってできたアートスペースです。

朋丁

インディーズマガジンを販売していたり、ポップアップイベントをほぼ毎日開催しているので、「ここに行けばなにかある!」という絶対的な安心感があるんです。


朋丁(ポンディング)

WEB:
https://pon-ding.com/



Chen His
WEB:
https://chhsi.art/

Instagram:
https://www.instagram.com/ch.hsi/


自撮り棒付き監視カメラ!? 二度見必至のファインアート

本アートフェアで唯一非アジア人としての参加を果たしたPanos Dimitropolosさん。もとはギリシャのご出身ですが、アジアのオリエンタルなカルチャーシーンに魅せられて、現在は上海に拠点を置きアーティストとして活動をしているそう。

Panos Dimitropoulosさん

Panos:上海は住んでみるととてもおもしろい都市ですよ。ご存知の通り上海を含め中国では政府によるインターネット規制がされていて、Wifiにつなげるだけでは主要なSNSは使用できないのですが、だからこそ実際行ってみてはじめて理解することができる魅力がたくさんあるんです。

例えば、上海中心部からもほど近い、ローカルなコーヒーショップやモダンな家具屋が立ち並ぶ「Anfu Lu(アンフー通り)」。

このエリアには、中国人がオーナーをつとめる隠れ家的なギャラリーがたくさんあります。特にお気に入りは、『SquareGallery』『Bank』『Capsule』です。コンテンポラリーアートが好きな人なら必ずハマるはず。

上海で盛り上がるアートシーンに住んでみてはじめて気づいたというPanosさん。上海の魅力にすっかり取り憑かれているようです。


Panos:ぼくはアートを通して、人々を覚醒させたいと思っているんです。例えばこの自撮り棒付き監視カメラは「撮る・撮られる」の関係性をあらためて問い正そうと思ってつくりました。ユニークでしょ? 人をハッとさせるアートをつくり続けるのがぼくの使命だと思っています。


SquareGallery
Instagram:
https://www.instagram.com/squaregallery_shanghai/



Bank

WEB:
http://www.bankmabsociety.com/portal



Capsule

WEB:
https://capsuleshanghai.com/



Panos Dimitropoulos

WEB:
http://concepd.co.uk/

Instagram:
https://www.instagram.com/thepdconcept/


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