日本に根付く「勿体無い」という精神。物を大切にし、無駄にしないというこの考え方は、日本独自のユーズド文化を育んできました。今や古着だけでなく、家具や家電、日用雑貨に至るまで、リサイクルショップや蚤の市で「価値ある一品」を見つけるスタイルは、東京の日常に深く浸透しています。特にパンデミックを経て、マーケットが活気を取り戻した今、東京の蚤の市は若い世代にとって、自分らしい暮らしを彩るアイテムを探すための「ホットスポット」となっています。

text & photo by SUSIE


今回は、東京の街の空気感に浸りながら楽しめる、厳選された4つのマーケットをご紹介します。1日の始まりを蚤の市からスタートさせて、歴史の深みを感じる「古いもの」を自分への記念品に選んでみてはいかがでしょうか?運が良ければ、イサム・ノグチの「AKARI」のような名作に出会えるかもしれません。

01. Tokyo City Flea Market

モノレール「大井競馬場前」駅。都心からは少し離れた、普通の観光コースではなかなか訪れない場所ですが、お洒落な日本の若者や外国人観光客が続々とこの駅で降り立ちます。角を曲がれば、目的地はすぐそこ、「Tokyo City Flea Market」に到着です。

普段はレースが行われる大井競馬場の広大な駐車場が、週末になると巨大なフリーマーケットに変貌。約400ものブースが、露天スペースや立体駐車場の中に並びます。多くの人が自家用車で乗り入れ、過度なディスプレイはせず、バックドアを開けてそのまま営業開始。テーブルや地面には、和服の着せ替え人形やダルマ、フィギュア、古い雑誌……など、多種多様なアンティークが並びます。何が出てくるか分からない、台北の福和橋市場のようなワクワク感がここにはあります。

ここでは、古着やサングラス、スカーフなどのアクセサリーが相場より安く手に入るとあって、若者たちにも大人気。運営は「サーキュラーエコノミー」を掲げる「東京リサイクル」チームで、誰でも気軽に出店できるのが魅力です。ジャンルを問わずあらゆる物があるため、どの世代でも宝探しを楽しめます。大井競馬場以外にも、吉祥寺PARCOや新宿中央公園などで不定期開催されているので、事前にチェックして旅程に組み込むのがおすすめです。

広大な会場は2時間あっても回りきれないほど、夏場は日焼け対策とマイバッグを忘れずに! 暑くなるにつれ、店主たちの「均一100円!」という威勢の良い声が響き、誰もが手ぶらでは帰れないほどの熱気に包まれます。

  • 会場は羽田空港へ向かうモノレール沿線なので、到着初日や最終日に行くのもおすすめ。ただし駅にロッカーはないため、大きな荷物は主要駅に預けてから向かいましょう。
  • 取引は現金が主流。一部でPayPayなどが使えます。

Tokyo City Flea Market
・住所:東京都品川区勝島2-1-2 (大井競馬場駐車場)
・営業時間:毎週土日 9:00-14:30
・Instagram:@tokyocity_fleamarket


02. 大江戸骨董市

10年前、初めての東京旅行で最も楽しみにしていたのが、この「大江戸骨董市」でした。実際に足を踏み入れた時の人混みの熱気、そして人々が交流する雰囲気は、台湾のマーケットとは全く別物。どの古道具も家宝のように精巧で、まるで「不思議の国」に迷い込んだような感覚を覚えたのを、今でも鮮明に覚えています。

2003年、江戸開府400年を記念して始まったこの市は、今や日本最大級の露天骨董市。日本全国からプロの骨董店が集まり、世界中からコレクターが訪れます。有名フォトグラファーでスタイリストのYuthananが、インスピレーションを求めて頻繁に訪れる場所としても有名です。

開場前に到着すると、店主たちが忙しく商品の配置を整え、一点一点を丁寧に拭き上げている姿が見られます。ただ布の上に置かれているだけでも、そこには店主のセンスと個性が滲み出ています。異なる素材の古物が組み合わさり、木漏れ日に照らされたブースは、まるで一枚の完成された絵画のよう。店主たちのこだわりを観察するのも、この市の楽しみ方の一つです。

ここでの魅力は「不期遭遇(思いがけない出会い)」。掛け軸、時計、ジュエリー、着物、玩具、縁起物……。あらゆる時代の物語を秘めた品々が並びます。アンティーク好きなら、手ぶらで帰ることはまず不可能です。ただし、掘り出し物に夢中になりすぎて、明治時代の皿を「歴史の破片」にしてしまわないよう、足元にはご注意を。

  • 主な会場は東京国際フォーラムで、東京駅と有楽町駅の間にあり、アクセスは抜群です。
  • クレジットカードやPayPayが使えるブースも多いです(各ブースで確認を)。

大江戸骨董市
・住所:東京都千代田区丸之內3-5-1
・開催:毎月第1・第3日曜日 9:00-16:00
・HP:https://www.antique-market.jp/


03. リサイクル推進友の会

「骨董品にはあまり興味がないけれど、日本のフリマの雰囲気は味わいたい」という方には、週末に開催される「リサイクル推進友の会」がぴったり。ここはサーキュラーエコノミーを掲げており、一般の住民が出店する、台湾の天母マーケットに近い親しみやすい雰囲気です。

広々とした公園の芝生にレジャーシートを敷き、服や本、ランドセル、テニスラケット、加湿器などが無造作に並べられます。大人たちが客と談笑し、子供たちがそばで走り回る、そんなリラックスした空気感が魅力です。骨董市の洗練さはありませんが、自由で活気に満ちた、家族連れにもおすすめの週末イベントです。

ここでは「人と物の縁」がすべて、気に入ったものがあれば、オーナーと交渉して理想の価格で手に入れるチャンスもあります。会話の中で商品のストーリーを聞いたり、地元の人と交流したり。時には地元の人しか知らない美味しいお店の情報を教えてもらえることも、この市ならではの収穫です。

日本人の「物を大切にする習慣」はここでも発揮されており、出品されている衣類やアクセサリーは状態が良く、清潔です。高級ブランドを買うことだけが幸せではなく、誰かが使った物の価値を繋いでいく喜び、そんな日本的な美学を肌で感じることができます。

  • 屋根がない公園開催のため、天候や客足によっては午前中に終了してしまうこともあります。早めの時間を狙いましょう。
  • 支払いは現金がメイン、マイバッグを持参しましょう。

リサイクル推進友の会
・会場:公式サイトにて要確認
・開催:週末
・Instagram:@recycle_tomonokai
・HP:http://www.frma.jp/


04. 赤坂蚤の市 in ARK HILLS

会場に集まる人々は、まるで雑誌『FUDGE』や『POPEYE』から飛び出してきたかのよう。洗練されたヴィンテージウェア、ジュエリー、古本、音楽、雑貨などが並び、ディスプレイから商品に至るまで、全方位にセンスが溢れています。 高級住宅街や大使館に囲まれたアークヒルズで開催されており、吹き抜けの開放的な屋根があるため、雨の日でも安心。店主たちはアンティーク絨毯を敷くなどして自分たちの世界観を表現しており、ゆっくりと歩きながら鑑賞したくなります。

アクセサリー好きな筆者は、ハンドメイドのシルバーリングのブースで迷い込んでしまいました。ここは骨董品だけでなく、藤の帽子やアクリルのチャーム、さらにはネオン管を使ったアート作品など、台湾の文創(クリエイティブ)ブランドとはまた違う、個性的でエッジの効いたアイテムに出会えます。

また、ここに来る人々のファッション観察も楽しみの一つです。籠バッグを持った気品ある女性や、白髪を綺麗に整えたおしゃれおじさんを見かけることも。何も買わなくても、そこにいるだけで感性が刺激される特別なマーケットです。

  • 六本木一丁目駅3番出口から徒歩1分とアクセス抜群。
  • カード、PayPay、現金、いずれも対応しているブースが多いです。

赤坂蚤の市 in ARK HILLS
・住所:東京都港区赤坂1-12-32
・開催:毎月第4日曜日 11:00-17:00
・Instagram:@akasaka.nominoichi2014
・ HP:https://www.arkhills.com/akasaka-nominoichi/


電子決済が普及した日本ですが、蚤の市へ行くなら十分な現金を用意しておくことをおすすめします。例えば、周辺にATMのあるコンビニが少ないTokyo City Flea Marketや、リサイクル推進友の会では現金がメインです。また、東京の夏は台北と同じくらい暑いため、日焼け対策も万全に。そして、屋外の市は天候に左右されやすいため、お出かけの前日には公式サイトなどで開催情報を必ずチェックしておきましょう。

蚤の市の商品は、そのほとんどが「一点物」のため、早起きした人だけが本当の宝物に出会えます。市から始まる1日は、あなたの旅をより豊かなものにしてくれるはずです。


番外編:街中の宝島「リサイクルギャラリーNEWS」

週末の市以外でも、東京の街角には「宝探し」ができるスポットがあります。リサイクルショップのチェーン店「リサイクルギャラリーNEWS」は、ぜひチェックしてほしいお店です。

単なる「不用品回収店」だと思ったら大間違い。ここにはダルマや漆器、昭和レトロな食器といった日本的なアイテムはもちろん、USMハラーのキャビネット、innovatorの家具、BISLEYのキャビネット、さらにはイサム・ノグチの照明までが静かに出番を待っています。

こうしたお店は住宅街に多く、商品の回転が非常に速いのが特徴。状態の良いオーブンやテレビなどは入荷後すぐに売れてしまいます。Googleマップで「中古店」や「リサイクルショップ」と検索して、地元の人が通う店を覗いてみる。そんな「日常の中の宝探し」も東京の楽しみ方です。

リサイクルギャラリーNEWS 烏山店
・住所:東京都世田谷区南烏山6-18-14
・営業時間:平日 10:30-19:00 休日 10:00-19:00
・HP:https://news.gr.jp/


ファストファッションの潮流がいかに華やかであっても、長い年月を重ねてきた古物の存在感は、やはり何ものにも代えがたいものがあります。個性豊かなブースとそこを行き交う人々が織りなすマーケットは、場所ごとに異なる独特な空気感や物語をまとっています。ここでは、忘れ去られそうになりながらも今なお輝きを放つ「時の魅力」を秘めた品々に出会い、新しい命を吹き込むことができます。それこそが、蚤の市の何よりの醍醐味なのです。

次の東京散策では、ぜひ蚤の市をプランに加えてみてください。ローカルな日常のリズムに身を任せ、あなただけの「一目惚れする宝物」を探しに行きませんか?

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