富錦街エリアの人気の火付け役、富錦樹グループ(Fujin Tree Group)代表・Jay Wu(呉羽傑)に聞く、台北のこれからのライフスタイル

今台北で最も注目されているエリアの1つ・富錦街(フージンジェ)は、松山国際空港の近く、徒歩10分ぐらいの場所にあります。台北の中心地に位置しているにも関わらず、「台北の裏庭」と称されるほど緑に囲まれ、いつもゆったりとした空気が漂う人気のエリアです。 そんな今の富錦街エリアの人気の火付け役となったのが、「富錦樹グループ(Fujin Tree Group)」が手掛けるショップたち。2012年にセレクトショップ『Fujin Tree355』を創業以来、現在まで13店舗のカフェやショップ、レストランなどを展開し、このエリアの立役者となると共に、現在の台北のライフスタイルを牽引する存在となりました。そんな富錦樹グループ代表のJay Wu(呉羽傑)にお話を伺いました。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

「富錦樹」という名前は、ヴィジョンでもある

-今日は天気がすごくいいですね。ここ『Fujin Tree 353』から見る富錦街エリアは本当にきれいですね。

Jay:大事なことをおっしゃいましたね。富錦街はこんなにも美しい街。それがここに開いた一番の理由なんです。

-富錦街が本当にお好きなんですね。

Jay:もちろんです。「富錦街」の「富」と「錦」は中国語で、「繁栄」、「豊か」といった意味があります。この二つの言葉に生命力に満ちた「樹」という言葉を加えれば、とっても活気が溢れるように感じませんか? 私の目標は一つのお店を発展させるだけではなく、「樹木」のように枝と葉が生えるように、もっと幅広い可能性を試すこと。「富錦樹」というグループ名はその言葉の意味ともに、同時に私のヴィジョンでもあります。

-もともとセレクトショップをはじめようと思ったきっかけはなんだったんですか?

Jay:原点はある種の「シェア」したい情熱からだったんです。私から見ると、台湾には独特の個性と魅力が溢れるアイテムがたくさんあるけど、台湾人はその魅力を外に伝えることが得意ではない。だから私たち独自の視点で台湾のアイテムをセレクトして、この土地にある良いものをもっと知ってもらえるように動き出したんです。その中でも初期の代表的な取り扱いアイテムに、台湾の著名なファッションデザイナー鄭恵中が手掛けた洋服がありましたね。
※注)鄭恵中:台湾の有名ファッションデザイナー。デザインスタイルは自然でシンプルさを重視し、近年は舞台衣装のデザインに携わる。

-今では富錦街は人気のエリアとなりましたが、このエリアでお店を開く理由は他にもあったのでしょうか?

Jay:何か理由があるとしたら、私もここに住んでいたからでしょうね(笑)。住んでいるからこそ、本当にこの場所が好きだと言える。元々ここは、アメリカ軍の宿舎だったいうこともあり、それほど台北っぽくない特別な雰囲気があったんです。そして茂る樹木があり、ここに住んでいる住民たちもそれをきちんと手入れをしているんですよ。

富錦樹は、時代と共に変化する

-富錦樹は元々、ファッションを主とした「衣」をメインとしていましたが、現在、衣食住からレジャーまで様々な展開をしています。

Jay:最初は確かにそうですが、年を重ねるにつれ、ライフスタイルの変化とともに、私が興味を持つジャンルやテーマも一緒に変化していきます。例えば、社会に出たばかりの私、結婚したばかりの私、子供を二人持つ私、気にするものや必要とするものが必ず違います。これらはすべて富錦樹の展開に反映していると思います。だから結果をみると、富錦樹というブランドは男目線から出発することが多いかもしれません。25〜35歳の男性のライフスタイルを提案するような。

-そういった意味でも富錦樹というブランドの展開は、Jayさんのライフスタイルと直結していると言ってもよろしいでしょうか?

Jay:その通りです。富錦樹の展開の仕方は常に予想外と言う人もいますが、複雑のように見えて、実はとてもシンプルなんです。ファッション好きで、美味しいものが好きで、色んなことを楽しむのが好きという私のライフスタイルを分かって頂ければ、すべてが合理的に感じると思います。もっと分かりやすく言うと、もし私がサーフィンを始めたら、富錦樹の関連会社にサーフィンブランドが登場するかもしれません(笑)。富錦樹とは常に変化する、有機物なのです。

-そういった意味で、今は何がメインなのでしょうか?

Jay:私のこのゆったりとしたファッションを見て頂ければ分かるでしょうが、今は衣食住の中で「食」が一番になっていますね(笑)。我々のグループにカフェと台菜香檳があって、カレー屋とかき氷屋はポップアップといった形で不定期にオープンしています。「食」も我々が提案するライフスタイルの一環であり、その広がりに限度は設けていません。

台北は離れるとすぐ戻りたくなる街

-では、今の台北はどんな街だと思いますか?

Jay:台北は「離れるとすぐ戻りたくなる街」だと思います。単なる故郷への想いといっただけではなく、この街の自由の度合い、生活の快適さなどは、空気や水のように包容力があり、常に新しい物事を受け入れる風土がある。だからこそ新しい文化が発展しやすいんだと思います。

-ここ最近の台湾における変化などは、なにかありますか?

Jay:私が最初に衣食住の「衣」に携わったことと関係するかもしれませんが、最近感じるのは、台湾人の衣服への意識の変化です。特に男性は衣服へのこだわりが強くなり、若者が衣服に費やす時間やお金も多くなっていると思います。つまりは、ファッションに関する若者の関心がグッと増したと思います。

-ここ数年の変化なのですね。

Jay:少し言い方を換えると、誰もが自分の「ライフスタイル」を服装に表すようになったんだと思います。出かける前にまず、どうすればかっこよく見えるか? なにが自分らしさなのか? これは私の最近の口癖でもある「再定義する」と似ていて、何かを思考することを常に続けている状態でもあるんです。

-その「再定義する」とは!?

Jay:「再定義する」ことは、今の富錦樹に最もふさわしい、とても実用的な言葉です。今、私たちの暮らしの中では、仕事や普段の生活、レジャーなど、再定義できるものが多くあります。何事も急いで突き進むだけではなくて、いったん足を止めて、自分の価値は何だったのか、何が自分にとって価値あるものなのかを考えれば、答えは見つかるはずなんです。

-それは「ライフスタイル」を、もっと「日常」に落とし込めるということでしょうか?

Jay:その通りです。

-そうやって、台湾で新しい文化が生まれていくんですね。

Jay:台湾の最近の流行り言葉で「慢(ゆっくり)」というものがあります。それはいいかえると、何事も「近道がない」ということかもしれません。過去の私は進むのが早すぎたからこそ、次のステップはペースをゆっくりとしていきたいです。まだまだ時間はかかると思いますが、台湾のライフスタイルはもっともっと良くなっていくと思いますよ。

プロフィール
Jay Wu / 吳羽傑

1977年台南生まれ。Fujin Tree Group/Founder and President。日本やカナダでの留学経験をはじめ、台湾での総合商社での勤務を経て、新しいライフスタイル(衣・食・住)を提案する、Fujin Tree Groupを立ち上げる。ファッションやインテリア、料理など興味の対象は幅広く、日本文化への造詣も深い。また、2014年からXue Xue Institute(學學文創志業)の講師としても活動している。

富錦樹台菜香檳 at FujinTree
住所 : 台北市松山區敦化北路199巷17號1樓
営業時間 : 12:00~14:00
18:00~22:00
電話番号 : 02−8712-8770
最寄り駅 : 台北小巨蛋駅
Webサイト : http://www.fujintreegroup.com/


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