台湾の人気モデル・王真琳(シンシン)と巡る、岡山県津山のカルチャースポット案内 後編

岡山県津山市をご存知でしょうか?

県の北部に位置し、江戸時代には津山城の城下町として栄え、現在もその街並が大切に残されており、最近では若者たちによって新たなカルチャーも育まれています。

今回、台湾で活躍するモデル・王真琳(ワン・ヂェンリン ※通称「シンシン」)と一緒に津山を訪問。古くからあるもの、新しくできたもの、新旧双方の津山カルチャーをシンシンが体験していきます。

※本記事は『HereNow』にて過去に掲載された記事です。

前編はこちらから

旅館 お多福

津山市内の飲食店が並ぶ繁華街エリアの一角にある『旅館 お多福』。こちらで津山の郷土料理「そずり鍋」をいただけるとのことで、訪ねてみることに。

1928年創業以来、木造建築がそのままの形で残る、『旅館 お多福』。玄関や廊下、階段や床の間に飾られる書画の数々は、3代目の女将さん曰く「この旅館を始めるとき、初代が『お部屋に掛け軸や置物がないと』と収集したことが始まりなんですよ」とのこと。

シンシン:旅に出ると、ついついホテルを選びがちだけど、昔ながらの日本の旅館ってとても落ち着きますね。

旅館内をくまなく探索していたら、食事の準備ができたようなので、早速いただくことに。「“削る”ことを津山の方言で“そずる”と言うんですが、そずり鍋は牛の骨からそずりおとしたお肉を使うんですよ」と、女将さんがてきぱきとお鍋に具材を入れていきます。

「そずり肉は骨に近い部分なので、いいお出汁が出るんです。お肉そのものも軟らかくて食べやすいですよ」と女将さん。

シンシン:野菜はシャキシャキしているし、お肉は想像していたより軟らかくて、おいしい。スープに野菜のうまみがしっかり出ているんだけど、しめのうどんまで飲み干さないように、もう少し我慢ですね(笑)。

そずり鍋と共に、女将さんとの会話も楽しんだシンシン。食事だけに限らず、普段は旅館としても利用できるので、ぜひ津山旅行の宿泊先にもどうぞ。

旅館 お多福
住所: 岡山県津山市山下28-2
営業時間: 11:30~14:00、17:00~22:00(要予約)
電話番号: 0868-23-0125
Webサイト: https://www.facebook.com/ryokanotafuku/

田町文化STORE ~ 音虫レコード

次に向かったのは『旅館 お多福』から、徒歩で10分ほどの津山市田町エリアにある『田町文化STORE』。建物の1階は古道具や家具が並んで、階段を上がった2階が、アンティークの家具と古書が並ぶカフェになっています。

本棚から気になるタイトルのものを手に取って眺めるシンシンに、オーナー嶋尾竜二さんが声をかけます。「元々ブックカフェを始めるつもりではなかったんです。音楽や本、家具もそうなんですが、僕は古いものが好きで。それを僕は“文化”だと思っていて、主にサブカルチャーなんですが、そういう文化を田町でつくろうと思って始めた場所なんです。」

カフェにある家具は、フランスやアメリカから買い付けたものや譲り受けたソファーや椅子のほか、テディベアや革のトランクケースがディスプレイ。セレクトされた岡山県の郷土文庫や雑誌、絵本は、ほぼ全て嶋尾さんのコレクションだとか。

「ここに置いている本は、“嶋尾の脳内”みたいなもので(笑)、いわゆる僕のコレクションの一部です。すぐそばの『マチノキチ』では本を販売しているので、あとで寄ってみてください。あ、隣の部屋でこの5月にレコードショップもオープンしたんですよ」

カフェには、地元の高校生がよく来るとのことで、取材日も地元の高校生がちらほら。カフェのメニューについては若いスタッフに任せているそうで、ドリンクメニューは季節ごとに年4回変えているそう。2階以外にも、屋上があったり、中庭があったりと、ゆったりと過ごせる空間が魅力のカフェです。

この日、シンシンがオーダーしたのは「自家製イチヂクシロップのミルク割」と「ミックスベリーパフェ」。味はもちろん、そのフォトジェニックな見栄えも、若者たちから支持される所以なのかもしれません。

シンシン:日本の知らないこと、まだまだ沢山あるなぁ。嶋尾さんは、戦前のスイングジャズが好きだと話されていました。あとは、憧れのサロン「青い部屋」という本を紹介してくれて、シャンソンや三島由紀夫のことを教えてくれた。嶋尾さんは、私にとってカルチャーのお兄さんのような感覚。雰囲気もそうだけど、この場所は台湾人がすごく好きだと思いますね。

嶋尾さんの案内で、隣の『音虫(おとむし)レコード』にも、少し立ち寄ってみることに。店内に並ぶレコードは総数約2000枚。「和物が強い」と言うオーナーの石浦飛さんのセレクト基準は、「DJ目線でフロアで使えるかどうか」だと言います。

「遠方からプロのDJも買い付けに来ますが、『田町文化STORE』に来た若い女性が寄ってくれたりもしますよ」と石浦さん。オープンして約半年ほどですが、Instagramに入荷したレコードジャケットをアップすると、海外からの問い合わせもあるそう。「倉庫にまだ1,000枚はあるので、それもお店に並べたいですね」とのことで、これからの充実が楽しみなレコードショップです。

田町文化STORE
住所: 岡山県津山市田町19
営業時間: 11:00~19:00
定休日: 火曜日
電話番号: 080-2909-8328
Webサイト: www.facebook.com/tamachi.bunka.store/
音虫レコード
住所: 岡山県津山市田町19 202号
営業時間: 11:00~19:00
定休日: 月曜~木曜(金土日のみ営業)
Webサイト: https://www.instagram.com/otomushi_record/

マチノキチ

『田町文化STORE』から歩いて1分もかからない場所にある、古物書房『マチノキチ』は、同じく嶋尾さんがオーナーをつとめる“古物”を販売するお店。店内には岡山県南の『451ブックス』から2か月に1度仕入れた古書から、「STUDIO VOICE」や「オリーブ」といった雑誌のほか、全国のリトルプレスや古いリーフレットまで様々な書籍と古物が並びます。

店内の植物は全て、店長の内藤さんによるディレクション。お店に並ぶ古物も相まってか、植物と古物の独特の世界観が光ります。

『マチノキチ』ではシンシンも自分用のお土産に、本や雑貨を購入。中でも製薬メーカーのキャラクターがプリントされたペーパーバッグがお気に入りで、描かれているレトロなキャラクターもシンシンには新鮮に映るとのことでした。

珍しい古書はもちろん、国内でもあまり見かけないZINEなども多く揃っているので、本好きはもちろん、お土産を探すにもピッタリなのが古物書房『マチノキチ』です。

マチノキチ
住所: 岡山県津山市山下46-19
営業時間: 11:00~18:00
定休日: 金土日のみ営業
電話番号: 090-3379-4611

Bar Roots

津山の最後に伺ったのは、繁華街の中に静かに佇む『Bar Roots』。カウンター席とテーブル席があり、一人でも安心して入れるバーです。

「うちは、イメージとか味のお好みとかでご注文いただいても構いませんよ。」そう話すマスターの内田さんは、この『Bar Roots』を5年前にオープン。「この場所をきっかけにカクテルやバーを好きになってもらえたら嬉しい」と話します。

「今日はマスターにお任せでお願いしてみようかな」というシンシンに、「かしこまりました」と内田さん。

シェイカーを振り、内田さんが提供してくれたのは、「チャイナブルー」。ライチのオリエンタルな香りとグレープフルーツの酸味、そして鮮やかなブルーで、台湾から来たシンシンを表現したとのことです。

シンシン:ブルーが鮮やか。いつも梅酒をよく飲むんですが、この甘さはすっきりですね。

台湾の話をはじめ、好きなアニメの話などで、内田さんとも話が弾み、「もう1杯いただこうかな」とシンシン。

2杯目のオーダーで内田さんが作ってくれたのは、赤いカクテル。「カルバドスというアップルブランデーを使ったもので、カクテルの名前でいうとジャック・ローズともいいますね」と内田さん。

シンシン:これはおいしい。カクテルの名前を知らないとバーは敷居を高く感じてしまうこともあるけど、お任せで作ってくれるなら気軽に楽しめて嬉しい。

時間が経つと共に、徐々にローカルのお客さんが増えていく店内。そんな中で、シンシンに今回の旅の感想を尋ねてみました。

シンシン:津山で回った場所や出会った人を思い出すと、古いものも新しいものも、どちらもほどよく生かし続けることが、津山の文化(カルチャー)になっていっている気がしました。津山を知ったことで、もっと日本のいろんな場所を見てみたいと思ったし、またここに遊びに来たいですね。

Bar Roots
住所: 岡山県津山市京町47
営業時間: 20:00~26:00
定休日: 日曜日
電話番号: 0868-35-3224
津山市公式観光サイト「つやま小旅」
Webサイト: http://www.tsuyamakan.jp/
プロフィール
王 真琳 (シンシン)

日本のカフェ文化と古着を愛する、台湾のミレニアル世代が今一番注目する台湾人モデル、女優。25歳よりモデル活動を始め、ファッションブランドのイメージキャラクターなどのモデル活動の他に、近年ではインデペンデント映画やインディーズミュージシャンのMVに出演するなど女優としても活動中。今後の予定に、莊景燊監督作品『強大的我』の公開を控える。



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